無意識の悪意とは? 映画ザ・スクエア
カンヌ映画祭でパルムドール賞を獲得したスェーデン映画「ザ・スクエア」を鑑賞。
あまり情報をインプットしないまま見たこともあり、鑑賞後は、
尻切れとんぼのエピソードの数々が腑に落ちず不完全燃焼。ところが、一晩寝て覚めたら、
すっかり見方が変わっている自分がいてびっくり。「あの映画は一体何だったのだろう?」と
無意識に考えていたのだと思う。
夢の中でスキャンされた「無意識の悪意」という文字が頭に残り、朝目覚めたら、
映画の中の全てのディテールが繋がっていった。
単に地面に四角く囲った
「思いやりの聖域」をテーマにした参加型アートを中心にストーリーが展開していく。
地位と名声を手にしている美術館のキュレーター、クリスチャンと、
ストリートで物乞いをするホームレスや貧民区に住む子供が格差社会を象徴する形で表現され、
その格差は、貧富の差だけではなく、男女、人種、職種の違い、
スタイルと様々なレイヤーが表現されている。良かれと思っている思いやりの言動が、
実は相手を傷つけ、または周りが迷惑を被っているというケースは、考えれば沢山あると思う。
思いやりを持って生きていくことが倫理であるのならば、その領域とは何だろう?
その領域を超えると、無意識の悪意と変貌してしまう。
これまでの長い歴史の中で私たち人間が起こしてきた多くの罪は、
私たちの手でしかポジティブに変換できないはず。まずは、
身近にあるボタンの掛け違えや自分の中の無意識に潜んでいる違和感を認識して整えていこう。
そんなことを考えさせられた映画でした。
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